2016年11月21日月曜日

「何者」小説感想

こんにちは、すしおです。

現在公開中の「何者」の小説を読んでの感想を書きます。ちなみにまだ映画はみてません……。
もう既に小説を読んだ方、または映画を観た方に向けて書きます。

「何者」……著.朝井リョウ
あらすじ〜演劇サークルで脚本を書いていた拓人を主人公に、着実に内定に近づいていく光太郎、光太郎の元カノで拓人が思いを寄せる瑞月、「意識高い系」でありながら結果が出ない理香、決められたルールに従わないと言いつつも焦りを隠せない隆良の5人の姿を中心に同じ大学に通う5人の就職活動・人間関係の変化が描かれる〜

読み終わってまず、

やられたー!!

って思いました。

作中で、主人公に対してバイト先の先輩が『想像力がない人間ほど他人に想像力を求める』といった内容の台詞があります。
「何者」は、作家である朝井リョウの想像力によって書かれた作品であり、読者の私達も自らの想像力を使って、この小説を読んでいます。

そして今作の主人公は作中で、身の回りで起きる事や、他人や自分についてかなり細かく分析しています。

それを手がかりに読者は想像力を使ってこの作品を面白く読もうとします。基本的な小説の構造は大体がこうなってるんじゃないかなと思うのですが、この「何者」では、「意識高い系」の理香に主人公の分析、また彼の存在についてかなり否定的な発言をぶつけまくります。

全てを知ってるかのように今作で語ってますけど、結局あなたも何者かになることしかできないんですよ?  的なことを突きつけてます。

ハッとしました。

「この小説を想像力を使って読み、全てを知った気になってる俺は何者なんだ……」

俺は何者なんだ…ってのは多分主人公に感情移入してれば、考えてしまうと思うのですがこの「何者」では小説のルールを使って、読者にメッセージを投げかけている。

朝井リョウはこの作品を使って自らの小説家という職業と向き合おうとしたんじゃないかなと思います。芸術だけでなく、どの分野においても自らがやっていることについて疑いを向ける事は非常に大事なことだと思います。

映画がどんな作品になっているのか分かりませんが、自らの存在、今取り組んでいることについて確認させてくれるような良作だったなと個人的には思いました!

観た人いたら感想教えてほしいなー。

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